この記事はKMC Advent Calendar 2014の4日目の記事です。
こんにちは、みなさん。私はKMC6回生のひでシスです。
今日は、私は大体450冊ぐらいの本を裁断・スキャン(自炊)する過程で得たいくつかの知見について共有したいと思います。この記事は裁断・スキャン・データ変換・そして運用の各面における実際の運用に基づいたやり方やTipsを紹介します。この記事は実際に本を自炊して物理的蔵書量を減らそうと考えている人にとって大きな参考になるでしょう。
私は来年度の夏からインドネシアへ留学する予定であるため、部屋の物をほとんど捨てなければいけません。 https://twitter.com/hidesys/status/462933989171277826/photo/1
これは私の部屋です。段ボールの8割が本です。私は引っ越しを行う来春までにほとんどすべての本を裁断スキャンするつもりです。
自分で自炊行為を行うことの一つのAlternativeな選択肢として、自炊代行業者の利用があります。しかし、これはこの前裁判になっていました。
高名な経済学者であり玄奥な哲学者、そして世界でもっとも重要な役割を果たした革命家であるカール・マルクスは次のように述べています。「資本家による生産手段の専有が問題なのだ」。私は共産主義者で革命家ですが分権と民主主義を最も大切に考えています。集産主義は悲劇をもたらします。私たちが私たちの家に自炊設備を持つべきなのです。
1. イントロダクション
1.1 自炊とはなにか
私がこの記事を技術的知見を共有するためだけの目的で書いたのならば、読者は自炊が何であるかについて知っているでしょう。しかし、この記事はKMCのアドベントカレンダーです。私はまず始めに自炊が何であるかについて説明しなければなりません。
自炊という単語は独身者が自分で料理をして食べることを本来指す用語です。しかし、私はこの用語を前に示した通り別の意味で使っています。それは本を裁断してスキャンし、そしてデジタルデータに変換することです。
2 自炊の手順
百聞は一見にしかずという諺があります。では、実際に自炊の一連の流れを見てみましょう。
2.1 裁断:PK-513LN
まず、私たちは本を裁断します。裁断は本の背表紙を大型カッターで切断し、紙をバインドしている部分を取り除くことで本をバラバラの紙に分解する行為です。これを行うことによって、あなたは本を紙の束に変換することができます。
ああ素晴らしき大脳パワーライフ's post on Vine
動画の通り、私はPK-513LNを使っています。
裁断機選びは非常に重要です。何故ならば、良い裁断機は時間と手間を節約するからです。Amazonなどで中国から輸入されたレバーの左右どちらか一方に付いた安価な裁断機をあなたは15千円程度で入手することができます、しかし、これは賢い選択とはいえません。私は私以外日本の自炊を行っている人たちを2人知っています。初め、彼ら二人共が安さの故に中国製の片側レバー裁断機を購入しました。しかし数カ月後に彼らは新しい裁断機を買うことを決定しました。なぜなら、それらの歯は鈍くとても切れにくく、本を裁断するのに多くの手間がかかるからです。PK-513LNなどのレバーが手前に付いた裁断機は少し高く大体倍の価格(30千円ほど)がします。しかし、あなたが多くの本を裁断するのならばそれらはその価格以上の価値があります。
また、あなたが本を裁断する際はつねに本が傾いてセットされていないかに気を払うべきです。もしあなたが本を以下のようにセットして裁断したとしましょう。
すると、本のすべてのページが台形に切られてしまいます。台形のページはスキャンしづらく、ソフトによりますが傾き補正もかかりにくいです。
不運なことに、中国製の片側レバー裁断機は常に本を斜めに裁断してしまう欠点があります。本は台形に切られ、傾いたデータはあなたの手元に永久に残ります。あなたはそれでも片側レバー裁断機を選びますか? 私は歯が垂直に降りる裁断機を強くおすすめします。
2.2 スキャン:DR-4010C
次に、紙の束になった本を連続スキャンします。紙の束を連続スキャン出来るスキャナのことをドキュメントスキャナと呼びます。私はCanonの業務用ドキュメントスキャナDR-4010C(中古で20千円)を使っています。
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多くのドキュメントスキャナが売られていますが、どれを選ぶべきでしょうか。ドキュメントスキャナを選ぶ際に気を付ける点は、原稿の搭載枚数とスキャンの速さと価格です。
CanonのDR-4010Cは漫画の単行本一冊分の原稿を一度に搭載できます。それはとても便利です。ScanSnapのように途中でフィーダーに原稿を追加する手間が省けます。スキャンソフトは付属していなかったので、NAPS2というソフトを私は使っています。また、スキャン速度の点で良いと思えました。しかし、カタログには載っていないいくつかの欠点をDR-4010Cは持っていました。
まず、スキャン速度についてです。たしかに、DR-4010Cはカタログ上のスキャン速度において有利です。しかし、インターフェースがUSB2.0であるためスキャンした後にデータの転送に時間がかかります。スキャンにかかった時間以上の時間が消費されるので、データ転送の時間はただ退屈です。
次に、メモリ不足についてです。DR-4010Cでカラー原稿を大量にスキャン――例えば美術館特別展のパンフレット等――をすると、必ずスキャナ本体のメモリ不足エラーが起こり、スキャンが停止されてしまいます。そのため、20ページずつぐらいに分けてフィーダに入れなければならず、非常にめんどくさいです。
最後に、これがもっとも大きな問題なのですが、原稿のスキャン範囲選択に問題があります。
周りが黒枠である漫画のページが原稿外だと認識されて切れてしまっています! まったく、これでは何が何だか解らない!
この問題は漫画特有のように思えますが、いくつかのペーパーバックの本の表紙でも同じ問題が起こりました。この問題は特に女性向けの漫画において深刻です。黒塗り白抜きで重要な心情吐露が行われたコマは必ず切れます。意味が解らない。
漫画のスキャンにおいては困ることのあるDR-4010Cですが、私は教科書やその他の本についてはその問題は起こらないので概ね満足しています。
2.3 デジタルデータの変換:ChainLP
スキャンされた紙のデータはそのままでも十分読むことが出来るのですが、あなたはデータを加工することでより良い読書体験を得るでしょう。 データの変換は特に電子ペーパー端末で読む際に重要です。電子ペーパー端末は概してスペックが低く画像の拡大縮小に問題があるため、Pixel-by-Pixelでないデータを転送すると汚く潰れて読めません。
私はKobo TouchのためにChainLPを使っています。
様々な機能が使え便利です。電子ペーパー端末を使うのであればChainLPは必須と言えます。また、データを変換すると容量が小さくなります。Kobo Touchの内部記憶領域を私は2GBから32GBへ換装してあるのですが、スキャンしたすべてのデータをたった300g程度のボディで持ち歩くことができます。これは革命的なことです。
2.4 そして、それを読む
あなたはPC・タブレット・電子ペーパー端末など様々なデバイスでスキャンした本を読むことができます。KindleやKoboと違って、自分でスキャンしたデータはデジタル著作権管理に縛られていません。(言うまでもないことですが、著作権法は必ず順守しましょう。私は自由主義者であり様々な規制に反対しています、これは政治的な思想に基づいた行為です)。あなたはデータをもっと柔軟に運用することができます。
左から、Acer ICONIA TAB 700A(10.1インチ・1980x1200)、Kobo Touch(6インチ、800x600)、Kobo Arc 7HD(7インチ・1980x1200)、背景はPCのモニタ(21.5インチ・1980x1080)
ああ、解像度!
電子ペーパー端末を除けば、解像度こそが端末を選ぶ際もっとも重要なファクターとなるでしょう。CPUスペックはあまり問題になりません。端末はただページをめくるだけで良いのですから! 例えば、Kobo Arc 7HDは処理速度の遅さ・もたつきがかなり目に付きます(やはり楽天はクソ)が、読書をする上においてはまったく問題になりません。まったく、Koboはやはり一般的なAndroid端末なのではなく読書端末なのですね。
Acer ICONIA TABやKobo Arc 7HDはAndroid端末としては良い選択です。解像度が高い上に価格が安い。iPadは使ったことがないのでよくわからないです。
ただ、私は一つ問題を抱えています。私は漫画を読む際、漫画は必ず見開きページで閲覧されなければならないと強く思っています。Android端末向けにはComicViewerというアプリが存在し、見開き設定で本を読むことができます。しかし、ページをめくっている内に左右が逆になったりなどバグがあり使いづらいです。私は新しいAndroid向け漫画ビューワーを開発することを視野に入れています。
3. 結論
本を裁断スキャンし魂を物理的本から救済し私たちの端末の上に自由に解き放つことは、我々の精神的自由にも役立ちます。常に大量の蔵書を持ち歩き、読みたい時に読める。このような時代が到来してしまったのです。
本を読む皆さん、とりわけ学問やイノベーションに関わる皆さん! 人類の叡智の結晶である本を常に携帯し、知的生産力を高めよう! PCとガジェットに興味のある全ての人は自炊の担い手になろう! 自炊に基づいたそれぞれの知的生産の力で社会を変革しよう!
最後に。 アドベントカレンダーの記事が遅れてしまい申し訳ないです。今日12/05のアドベントカレンダーの記事は「YAOYToolkitの宣伝」(hnagaminさんによる)の予定です。私はそれを待ちきれません。